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ENDER ENDER ① [小説(目次推奨)]

サマル→アリア君


ENER NDER ①

冷え切った手へ息を吹きかけ暖を取りながらサマルは除夜の鐘に耳を澄ます。
窓辺から見える、銀世界、これが晴れであれば厚着でもして参拝に行けたのに、と思う。
全てを埋める様に降り続く白色に、脳裏に朧気に浮かぶ友の姿に頭を振って打ち消した。

自分なんかが誘ってよいのだろうか、と思う。
数年前に友と行った初詣は己の心中で甘く疼きとなって残っている。
自分には勿体なさ過ぎる思い出の一つである。

深く嘆息し、身体の力を抜くと、一層ソファーに身体が埋もれた。
何も無い宙へ指先を伸ばし、左から右へと移動させれば薄緑色のディスプレイが現れる。
最新のニュースや、近辺のリヴ情報、それに己の覚えている技の一覧など
そのまま指先をディスプレイへと滑らせ、次々と流れてくる情報に目を通す。
年末だというのに、戦闘中の表示のある西の森に指先を止める。
知り合いの黒蜘蛛が負けるとは思っていない。だか蜘蛛1人に多勢は些か卑怯じゃないかと思うのは
きっとサマル自身がモンスへ踏み込み過ぎたからなのだろう。

(瞑君はいじっぱりだからね、俺と一緒に居ないと直ぐ暗くなっちゃうからね。)

太陽の様に陰りを一切見せず眩しい程輝く笑顔と共に笑う彼の言葉を思い出す。
その彼に上記の件を、メッセージを送る。多分黒蜘蛛一人で十分な相手だろうが…と思う反面
西の森で黒蜘蛛交戦中と短めのメッセージを送り、後は見てくれれば良いと願いながら
宙に浮かんだディスプレイを消す。

静まり返った無音の部屋。目を閉じればこのまま眠りに落ちそうな程
温かな室温と、心地よい無音。ただ、じくじくと痛む胸の内に理由を考えて
先程から浮かぶ友人の姿に一つの結論に至る。

会いたいという気持ちに対して、何を今更、ともう一人の己が笑う。
心優しき最愛の友はサマルの死によって何度傷ついたのだろうと考えてしまう。
あくまで他人事、と割り切ってくれれば良い、と願う。

ゆっくりと息を吐き出して、椅子に掛けてあった黒のコートを羽織り部屋を出る。
荷物は最小限で良い。彼を一目みれればそれでいい、そう思い家を出た。

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駒込

こんにちは駒込です。
新年明けましておめでとうございます!
そして・・・・サマル君っっ(`;ω;´)ぶわわっ
嬉しさの余り、現実逃避してたへタレを物理的に叩き起こしてきました。
また、のんびり交流して下さいましたら幸いでございます。


by 駒込 (2015-01-07 15:51) 

Az

>駒込さん
こんにちは、駒込さん
新年あけましておめでとうございます!
今年も宜しくお願い致します。
サマルはサマルなりに思う処があるようで
自宅を飛び出してしまいましたが…多分1~2続く話になります(ノω・*)
物理的!?ちょっとアリア君大丈夫ですか!!
というか本当アリア君には申し訳なくて…色々すみません。
わあああ、勿体ないお言葉をありがとうございます。
また宜しければ是非是非交流してくださると嬉しいです(/ω・*)
by Az (2015-01-13 23:43) 

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